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2023年03月16日

論文・発表・出版物実績

子育てと医師のキャリア形成の両立について 〜当院の現状と取り組み〜



ラジオにて。帰宅途中の車でだったかな。宮城県で「孫の育児休暇」が導入されたという。そして知事がその第一号該当者になったという内容だったと記憶している。いわゆる「育ジージ、バーバ」というものだ。なんだかんだで子育て世代が大変な思いをしている時代に、とてもいい話を聴いたと感じ

 さて当院は単科の精神科病院である。繰り返し言っていることだが内科の常勤医が2名在籍していることで、精神科の医師が身体合併症の診療に何ら苦慮することなく精神疾患の診療に当たることができている。常勤医の大半は40代でお子さんのいる先生は小中高の受験で皆大変そうである。医局での話題は診療以外に「受験の愚痴」がメインの感すらある。多くの先生が大方キャリア形成というか、必要な資格を取得ないし申請済みで、ブラッシュアップに学会や講習会に参加することを私自ら強く勧めている。

 一方、当院は東海大学の精神科関連病院で、専門医を目指す専攻医の先生を常勤医として複数派遣していただいている。その先生たちは専門医のみならず、ほぼ同時期に精神科特有の「指定医」の取得を目指すから大変である。一方指導する私が大変かというと、そうでもない。皆真面目だから。かつて、指導していた先生の為に私自身が年末年始病院に籠ってレポートとカルテを突合していた時、当の指導される側の先生は優雅におせち料理を食べていたという懐かしい思い出もあるといえばあるのだが・・・。今の専攻医の先生には専門医、指定医の更なる先を目指すよう、より縦深的な指導ができればと、ちょっと真面目に考えている。あるいは精神科に特化した分野のみならず、産業医や認知症サポート医など広く社会貢献できる資格取得も勧めていきたい。

 当院の医師の現状とキャリア形成についてここまで書いてきたが、最後に医師の子育て、すなわち医師の「産休育休」について書きたいと思う。当院には医師短時間勤務制度の導入例がある程度である。しかし専攻医の先生の世代はまさに該当するのではないだろうか。私はこちらも強く推奨する。医局以外の他の部署では、何ら支障なく産休育休をとっている。中には休みの度に新しい資格を取得してくる強者職員もいて、復帰するとよく「院長先生、私のこと覚えている?」などという挨拶をいただくのだが、これには苦笑するしかない。人間としてより大きくなって帰ってきてくれたと、むしろ喜んでいるのだから。とっさの事なので、いつも「忘れるわけないじゃん」としか返せないのだが、この場を借りて「一層期待しているよ!」と言わせてもらいたい。これは医師に関しても、ジェンダーフリーで同様の事が言えよう。こういうと医局のマンパワーを危惧する声が出てくるかもしれない。しかし「きちんと休み、家族を育み、より大きくなって戻ってこい」ってもんだ。該当する先生が出てきたら温かく見守り、そして復帰をとても楽しみに待ちたい。

神奈川県医師会 勤務医部会報 2023.3 No.23 掲載分より引用
丹沢病院 院長 関口 剛